【金融庁が警告】銀行カードローンが総量規制の対象になるの??

2017年11月08日 銀行

ginkou-cardloan-zisyukisei

2017年現在、銀行カードローンを取り巻く環境が大きく変わろうとしています。

これまで銀行カードローンは、消費者金融等、貸金業者のキャッシングに適用されてきた総量規制の対象外に置かれていたので、そのメリットを活かして、大きくカードローン市場でのシェアを伸ばしてきました。

しかし今やその先には暗雲が立ち込めています。

いわゆる銀行カードローンの自主規制問題です。

日弁連(日本弁護士連合会)、マスコミを初めとする世論は、銀行カードローンのシェア拡大に批判的であり、銀行カードローンも総量規制の対象にするべきと論陣を張っています。

一方で当事者の銀行並びに全国銀行協会、監督官庁である金融庁もまだその対応には慎重であり、できれば自主規制によりなんとか批判の矛先をかわしたいと考えている様子です。

今回はその銀行カードローンと自主規制の動き、さらに今後の展望について筆者の見込みも交えて詳しく解説します。

この記事を読めばわかること
  • 現状の銀行カードローンを取り巻く現状
  • 元銀行員・ファイナンシャルプランナーによる今後のカードローン市場の動向予想

銀行カードローンの融資で問題視されているもの

過剰融資に歯止めをかけるハズだった総量規制

消費者金融の過剰融資と高金利(グレーゾーン金利)、違法な取り立て問題などを背景に、総量規制という貸金業法改正が2010年6月に実施されました。

この総量規制の実施によって、消費者金融の融資残高はピーク時の12兆円から2016年までで3兆円まで減少しました。

また過剰融資を原因のひとつとする自己破産の件数も、その後減少の一途を辿ってきたことで、総量規制による過剰融資抑制の効果はあったと思われてきました。

総量規制とは
  • 銀行カードローンは総量規制の対象外
  • 総量規制の対象となるのは消費者金融・信販会社(貸金業者)のみ
  • 貸金業者での総融資額は、本人年収の3分の1を超えることができない
  • 1社で50万円を超える、もしくは複数の会社で100万円を超える借入をする場合、申込時に必ず所得確認書類を提出しなければならない

銀行カードローンのシェア拡大と自己破産件数の増加

総量規制が施行されたことで過剰融資の緩和に効果が認められたものの、銀行カードローンは総量規制の対象外となったことから、消費者金融に代わって、こんどは銀行がカードローン市場の主役に踊り出てくるようになりました。

消費者金融よりも低金利なのと、銀行という安心感から、銀行カードローンは爆発的人気となりました。

銀行カードローンの総融資残高は、2003年に3兆円だったものが、2016年には5兆円を突破し、2017年6月には5兆円6千億円に達したことで、その勢いはうかがい知ることができます。

つまり、消費者金融を法律で規正しても、銀行カードローンに代わっただけで、日本の全体の融資金額に変化があった訳ではなかったのです。

 

それだけではなく、長らく減少の一途を辿ってきた自己破産件数も、2017年度に入って遂に増加の兆しを見せ始めたことから、日弁連(日本弁護士連合会)が、この数字の悪化には銀行カードローンが総量規制の抜け穴になっていることが要因ではないか、と指摘をするようになったのです。

 

銀行カードローンは総量規制の抜け穴?

総量規制が実施されてからは、大手の消費者金融業者とメガバンクのグループ化や連携が進みました。

これによって、銀行がカードローンを販売して、銀行傘下の消費者金融業者が保証会社として、審査と保証を担うという新しい形のスキームが作られました。

銀行からすると、仮にカードローン利用者が滞納や破産等で支払い不能になっても、傘下の消費者金融業者が保証会社としてローン残金を返済してくれるので、安心してカードローンの販売に専念することができました。

しかも銀行は、総量規制対象外の業種だったので、いちいち申込者の収入に融資額を制限されることなく、銀行独自にカードローンの利用極度額を設定できたので、審査基準が緩くなるなど、仕方ない側面もありました。

このような審査管理システムと銀行カードローン残高の急激な増加、自己破産件数の増加基調などが相まって、今回、日弁連やマスコミによる「銀行カードローンは総量規制の抜け穴的役割を果たしている」という厳しい指摘を生み出してしまいました。

世論を受けて金融庁も銀行への行政指導を強化へ

世論の動きを受けて、この問題が大きく新聞等にも取り上げられるようになったことから、銀行を指導監督する立場にある金融庁としてもこの動きを無視できず、銀行への指導強化にのりだしました。

  • 2017年3月には「銀行カードローンの審査体制の強化」「広告宣伝の抑制」等を指示
  • 2017年10月からは、銀行カードローンの実態把握のため、銀行への集中検査
  • 2018年1月からは、個人向け即日融資の廃止

検査の中では「過剰融資を防ぐための審査体制は構築されているか」「過度にカードローン残高を増やすような営業推進体制が組まれていないか」などの点について検査が行われている模様です。

今後もさらに厳しくなると予想される

2017年10月現在、この検査については、大きな銀行からスタートし、今後も状況把握をしながら、順次規模の小さい銀行に向けて継続実施されていく予定です。

また金融庁による動きを受けて、全国銀行の管理団体でもある全銀協(全国銀行協会)も、全銀協加盟の会員行のカードローンの残高を毎月調べて公表することや、外部機関を利用して銀行カードローンの利用者数の調査を毎年実施することを発表しました。

更に、2018年1月からは、個人向けの審査が厳格化され、即日融資が廃止されます。

審査時には警察庁のデータベースの照会が行われるなど、厳しく時間をかけた審査がおこなわれるようになります。

過剰融資の指摘を受けた銀行(メガバンク・地方銀行)がこの1年間に行った自主規制

世論からの過剰融資の指摘と、全国銀行協会が各行に向けて過剰融資の防止策を要請したことを受けて、2017年4月に、まずメガバンク3行がカードローンの自主規制に向けた次の対応策を取りました。

①収入証明書の提出基準の強化

メガバンク3行は収入証明書の提出基準を、総量規制と同じ基準の50万円超に引き下げました。

これまで自主規制実施以前は、各行100万円~300万円までのカードローン利用極度額には収入証明書の提出が不要だったので、この50万円まで一気に提出基準を引き下げた規制強化が、いかに大きいものであるかがうかがえます。

②収入に対して融資額のバランスをより重視する方針を明確化

今回自主規制を発表したメガバンクのうち、1行は年収に対する融資額をそれまでの2分の1から3分の1に引き下げました。

また他の2行に関しても、明確に融資の上限を示したわけではありませんが、収入証明書の提出基準を50万円超に引き下げたことで、今後は収入に合わせて融資額を厳格に審査するという姿勢を明確に示しました。

③カードローン広告の自主規制

自主規制前、銀行によるカードローンCMの回数は、消費者金融のCMの頻度を優に上回るレベルのものでした。

しかし自主規制以降、銀行カードローンのCM回数は激減し、また多くの広告から総量規制対象外、収入証明書不要、低金利を訴求するような文言が消えました。

銀行カードローンの追加的な自主規制

即日融資の停止、保証会社とは別に銀行独自に警察庁と連携して審査を強化、低金利を利用した銀行カードローンの他行借入分の借り換え(おまとめ)自粛、収入のない専業主婦等への融資の自粛など、が順次導入予定されています。

すでにこの自主規制の動きは、メガバンクから大手地銀に波及し、同様な自主規制に向けた対応がスタートしていますが、この動きは、このレベルにとどまることなくさらに、今後大手地銀から下位地銀に向けて次々と、自粛の動きにつながっていくものと予想しています。

銀行カードローンが総量規制の対象になれば、誰が影響を受けるのか ?

カードローンの審査に通らない・通りづらくなる人

もし本当に銀行カードローンが総量規制の対象になったしまった場合、一番に影響を受ける人は以下の職種の人だろうと考えています。

審査に通らない人

  • 収入のない専業主婦、無職の人
  • 年金受給者

審査に通りづらくなる人

  • 収入があっても身分が不安定なパート・アルバイト
  • 派遣社員
  • 契約社員

また、すでに借入総額が年収の3分の1以上に到達している人は、今後は総量規制で全く借り入れができなくなる可能性があります。

場合によっては、契約中のカードローンの更新期限が来るたびに、銀行が収入証明書を求めてきて、審査の結果、収入不足を理由に、利用極度額の減額や利用停止を言い渡されるかもしれません。

一方、仮に審査が通過しても、総量規制による貸出基準の悪化で、貸出リスクが上昇したことを理由に、カードローンの適用金利を上げられる可能性も出てきます。

おまとめ・借り換えは難しくなる

また銀行への総量規制の導入は、別の面でも悪影響を及ぼすでしょう。

これからは複数の金融機関で借りている借金を、低金利の銀行カードローンでおまとめ、借り換えする方法も難しくなります。

なので、仮におまとめ・借り換えしたくても、これからは大手消費者金融業者が総量規制の例外として販売している「貸金業法に基づくおまとめ専用ローン」か、あるいは数少ない銀行で組成されている「おまとめ専用ローン」しか利用できません。

いずれにしても、これまで総量規制外業種として銀行が持っていたメリットは、もし銀行カードローンが総量規制の対象に組み込まれれば、全てなくなるので、そのメリットを受けていた対象者は全員影響を受けてしまうことになるでしょう。

すでに総量規制の流れに沿った銀行カードローンの自主規制は始まっています。

銀行カードローンを利用したいけど、融資条件を十分満たせない人にとって、これからの数年間は受難の年になりそうです。

これからの銀行カードローン市場についてFPの見解

もしこのまま銀行業界にカードローンの自主規制の動きが広がった場合、どのようなことが予想されるでしょうか。

地方銀行で長らく在籍していた元行員の筆者の意見としては、それほど極端な変化は起こらないのではないかと考えています。

銀行に自主規制が行われても、せいぜいその影響は、2010年6月に消費者金融に総量規制が完全実施された以前の銀行カードローンに対する融資の状況に戻った程度であり、極端に銀行の審査が厳しくなるというものではないのではと思っています。

元々銀行カードローンの審査は、私が在籍中からそれなりに本人収入や勤務先の安定度を考慮して利用極度額を決めていましたし、今回の世論の批判の動きを受けて、多少銀行の浮足立った審査姿勢が元に戻ったにすぎないものと判断します。

また一方で、現在は、銀行収益の中でカードローン収益は、以前にも増して割合が大きくなっているので、当面他の大きな収益源を見つけられない以上、銀行としても、いくら全銀協が自粛の音頭をとっても、全般的に銀行のカードローンを推進する姿勢は依然として変わらないものと考えています。

ただしこれまで正社員で勤務実績もあり安定した収入のあった人なら、今後も問題なく銀行カードローンは借れると思いますが、毎月の収支がギリギリのような生活を送ってきた、本当にカードローンを利用したい人にとっては、銀行カードローンはこれからかなり敷居の高い存在になっていくだろうと思います。

しかし世間にはキャッシングニーズの高い人が依然として多くいるので、人は融資が受けられる環境を求めて移動します。

これからの銀行カードローンは自主規制により、このような人たちのニーズには簡単に答えられなくなるので、その分、「即日審査」「即日融資」を売りとしている消費者金融業者に再び申込者が増加するのではないかと予想しています。

ただその中にはすでに年収の3分の1を超えて消費者金融業者で借入ができなくなっている人も多いと思うので、利用者の一部が闇金とかソフト闇金とか呼ばれている違法業者に流れていくのではないか、そんな懸念も感じています。

コメント..

Leave a Comment

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

コメント
お名前 *
メールアドレス *

PAGE TOP